浮気が発覚した後、再構築にせよ慰謝料請求にせよ、口約束だけで済ませるのは危険です。「もう二度としない」という約束も、「慰謝料を○万円支払う」という合意も、書面に残さなければ法的な効力はほとんどありません。

この記事では、浮気発覚後に必要となる2種類の書面——「誓約書」と「示談書(和解書)」——の書き方を、必須項目・注意点・法的効力を持たせる方法と合わせて解説します。

この記事でわかること: 誓約書と示談書の違い、それぞれに盛り込むべき必須項目、法的効力を最大化する方法(公正証書化)、やってはいけないNG条項、そして弁護士に依頼すべきケースを解説します。

誓約書と示談書の違い

まず、2つの書面の違いを明確にしておきます。

誓約書:再構築を選ぶ場合の書面

誓約書は、浮気をした配偶者(加害者)が「今後の行動について約束する」一方的な書面です。主に離婚せずに再構築を目指す場合に使います。

署名するのは加害者側のみで、「不倫関係を断つ」「再発した場合のペナルティ」などを記載します。

示談書(和解書):慰謝料を請求する場合の書面

示談書は、被害者と加害者(配偶者または不倫相手)が慰謝料の金額や支払い条件について合意した内容を記録する書面です。双方が署名します。

項目誓約書示談書(和解書)
目的再発防止の約束慰謝料の合意
署名者加害者のみ双方
主な使用場面再構築慰謝料請求の解決
法的効力裁判で証拠として機能合意内容に拘束力あり

春田法律事務所の弁護士・春田藤麿氏は、再構築目的であっても「示談書形式」を推奨しています。誓約書は加害者の一方的な約束にすぎないため法的拘束力が弱く、示談書(双方署名)であれば合意内容の変更に双方の同意が必要となり、加害者が後から条件を覆しにくいためです。

誓約書に盛り込むべき7つの必須項目

再構築を選ぶ場合の誓約書には、以下の項目を漏れなく記載してください。1つでも欠けると、万が一の再発時に「それは約束していない」と言い逃れされるリスクがあります。

① 不貞行為の事実の明記

「いつ、誰と、どのような不貞行為を行ったか」を具体的に記載します。これは誓約書の前提となる事実認定であり、後から「浮気はしていない」と覆されることを防ぎます。

記載例:「私(氏名)は、○年○月頃から○年○月頃まで、(不倫相手の氏名)と不貞関係にあったことを認めます。」

なお、相手が事実を認めない場合は、写真・動画・LINEのやり取りなど客観的な証拠が交渉を有利に進める決め手になります。証拠収集のプロに依頼を検討している方はおすすめ探偵社ランキングを参考にしてください。

② 不倫相手との関係の完全な断絶

不倫相手との一切の連絡・接触を断つことを明記します。接触禁止条項には2つのタイプがあります。

完全消去型:「一切の連絡・接触・SNSフォローを禁止し、連絡先を完全に削除する」という最も厳格な形式です。再構築を目指す場合はこちらが基本です。

例外許容型:「業務上必要最小限の接触を除き、私的な連絡・接触を一切禁止する」という形式です。同じ職場で勤務を続けざるを得ない場合に使いますが、「業務上必要」の範囲が曖昧になりやすいため、可能であれば部署異動や転職を条件に加えた上で完全消去型を採用してください。

③ 再発した場合の慰謝料(違約金)

「今後、不貞行為が再発した場合は、慰謝料として○万円を支払う」という条項です。金額は200万〜500万円が一般的です。

違約金の金額設定には判例から導かれる目安があります。10〜50万円は裁判でほぼ確実に有効と認められる範囲、100〜200万円は合理的と判断されるケースが多い範囲、300〜500万円は減額リスクが中程度ある範囲、500万円超は公序良俗に反するとして無効と判断されるリスクが高い範囲です。

実際の判例でも、違約金5,000万円の設定に対して裁判所が1,000万円に減額した事例、1,000万円を150万円に減額した事例がある一方、「不貞行為1回につき100万円」(6回で600万円)が全額認容された事例、「1日あたり30万円」(214日分で2,340万円が認容)の事例もあります。ポイントは、合計額よりも算定根拠の合理性が重視される点です。

④ 離婚条件の事前合意

「再発した場合は離婚に同意する」「親権は○○が持つことに同意する」といった条項です。これにより、再発時に離婚をスムーズに進めることができます。

ただし、親権については「その時点での子どもの利益」が最優先されるため、誓約書の記載がそのまま認められるとは限りません。あくまで「合意の意思があった」ことの証拠として機能します。

⑤ スマホ・SNSの確認に関するルール

「配偶者の求めに応じて、スマートフォンの内容を開示する」という条項です。プライバシーの観点から、これを不当だと感じる人もいますが、不貞行為を行った側が信頼回復のために自発的に同意するものです。

⑥ 行動の報告義務

「外泊する場合は事前に連絡する」「異性との食事は事前に報告する」など、日常的な行動の透明性を確保する条項です。再構築の過程で、被害者側の不安を軽減するために設けます。

⑦ 日付と自署・押印

誓約書の日付、加害者の自筆署名、押印(認印で可)は必須です。パソコンで作成した書面に署名だけ手書きでも法的には有効ですが、全文自筆の方が「本人の意思で作成した」ことの証明力が高まります。

示談書に盛り込むべき8つの必須項目

慰謝料請求を示談で解決する場合の示談書には、以下の項目を記載します。

① 当事者の特定

被害者(甲)、加害者(乙:配偶者または不倫相手)の氏名・住所・生年月日を記載し、当事者を明確にします。

② 不貞行為の事実

誓約書と同様に、不貞行為の事実を具体的に記載します。

③ 慰謝料の金額

合意した慰謝料の金額を明記します。慰謝料の相場については浮気の慰謝料相場を参照してください。

④ 支払い方法と期限

一括払いか分割払いか、振込先口座、支払い期限を明記します。分割払いの場合は、毎月の支払日・金額・最終支払日を具体的に記載してください。

⑤ 遅延損害金

支払いが遅れた場合の遅延損害金(年利○%)を定めます。法定利率は年3%ですが、合意により年5〜14.6%程度に設定するケースが一般的です。これがあることで、相手に「遅延すると追加費用が発生する」というプレッシャーを与えられます。

⑥ 求償権の放棄(不倫相手への請求の場合)

不倫相手に慰謝料を請求する場合、求償権放棄条項は必須です。求償権放棄がないと、不倫相手が配偶者に対して負担分を請求できるため、家計全体ではマイナスになるリスクがあります。求償権放棄は法律上「債務免除」にあたるため、書面に明確に記載しなければ効力がありません。

求償権放棄の3パターンと使い分けの詳細は不倫相手だけに慰謝料を請求する方法で解説しています。

⑦ 接触禁止条項

「今後、甲の配偶者と一切の連絡・接触を行わない」という条項です。違反した場合のペナルティ(追加の慰謝料○万円など)も合わせて記載します。

⑧ 清算条項

「甲と乙は、本示談書に定めるほかに、一切の債権債務がないことを相互に確認する」という条項です。これにより、示談後に追加の請求をされることを防げます。

浮気の悩み、一人で抱え込まないでください。

匿名・無料で相談してみる

✓ 匿名OK ✓ 24時間受付 ✓ 相談だけでもOK

法的効力を最大化する:公正証書にする

誓約書・示談書をさらに強力にする方法が、公正証書にすることです。

公正証書とは

公正証書は、公証役場で公証人が作成する公的な書面です。私文書(当事者だけで作成した書面)と比べて、以下の点で法的効力が格段に高くなります。

強制執行が可能:示談書を公正証書にし、「強制執行認諾条項」を入れておけば、相手が支払いを怠った場合に裁判を経ずに給与や預金の差し押さえが可能になります。私文書の示談書では、まず裁判を起こして判決を得る必要があり、回収までに数ヶ月〜1年以上かかります。

証拠としての信頼性が高い:公証人が当事者の本人確認と意思確認を行った上で作成するため、「署名を強要された」「内容を理解していなかった」といった反論が通りにくくなります。

公正証書の作成費用

公証役場の手数料は、慰謝料の金額に応じて以下のとおりです。

慰謝料の金額公証人手数料
100万円以下5,000円
100万円超〜200万円以下7,000円
200万円超〜500万円以下11,000円
500万円超〜1,000万円以下17,000円

弁護士に公正証書の作成を依頼する場合は、別途3万〜10万円程度の弁護士費用がかかります。

公正証書にすべきケース

以下のケースでは、費用をかけてでも公正証書にすることを強くおすすめします。

  • 慰謝料が分割払いの場合(途中で支払いが止まるリスクに備える)
  • 相手の支払い能力に不安がある場合
  • 誓約書の違約金が高額の場合(将来の紛争予防)

やってはいけないNG条項

誓約書・示談書に以下のような条項を入れると、書面全体の法的効力が損なわれたり、逆にあなたが不利になるリスクがあります。

NG①:非現実的な違約金

「再発した場合は慰謝料1億円を支払う」のような非現実的な金額は、公序良俗に反するとして無効になる可能性が高いです。違約金は、不貞行為の慰謝料相場(50万〜300万円)を大きく超えない範囲で設定してください。

NG②:人権を侵害する条項

「外出を一切禁止する」「異性と話すことを禁止する」といった過度な行動制限は、人権侵害として無効になる可能性があります。行動制限は「異性との食事は事前に報告する」程度の合理的な範囲に留めてください。

NG③:第三者への秘密漏洩の強要

「この誓約書の存在を誰にも話さない」という条項は、被害者が弁護士やカウンセラーに相談する権利を制限するため、合理性を欠くと判断される場合があります。「正当な理由なく第三者に開示しない」程度の表現にとどめてください。

NG④:脅迫的な文言

「この条件に同意しなければ会社にバラす」「親族全員に知らせる」といった文言は、脅迫として書面全体の有効性を失わせるリスクがあります。

誓約書・示談書が無効になるケース:強迫取消の判例

法的に有効な書面を作成しても、署名時の状況が「強迫」と認定されると書面全体が無効になります。たとえば、深夜に複数人で不倫相手を取り囲んで署名させた600万円の示談書や、大声で威嚇して合意させた220万円の誓約書は、いずれも裁判で無効と判断されています。

書面への署名は、冷静な状態で、相手が内容を理解した上で行わせることが絶対条件です。感情的な場面で無理に署名させた書面は、後から覆されるリスクが極めて高くなります。

強迫取消が認められた判例の詳細と、無効リスクを回避するための署名環境ルールは浮気の誓約書・示談書が無効になる5つのケースで解説しています。

弁護士に依頼すべきケース

以下のケースでは、自分で書面を作成するのではなく弁護士に�����������������������������������������������������������������������������������������������������������������������������������������������������������������������������������������������������������������������������������������������������������������������������������������������������������������

PR

浮気の悩み、一人で抱え込まないでください。

まずは匿名・無料で相談してみる

✓ 匿名OK ✓ 24時間受付 ✓ 相談だけでもOK